不動産にも公示の原則は認められています。これには、どのような効果があるのでしょうか。
例えば・・・私が[A]に家を売ったあと、登記を[A]が移していない事をいいことに[B]にも同じ家を売る契約をしたとします。このように一旦売ってしまった物を更に他人に売る事を『二重譲渡』 と言います。
[A]に家を売ってしまった以上、その家は[A]のものです。しかし登記簿上は私が所有権者のままですから、登記簿を見た[B]はまさか [A]が真の所有権者だとは思いません。そのため、実際問題[B]が買ってしまうことがありうるんです。
この場合は、[A]は本当の所有権者でも登記をしておかなければ自己の所有権を[B]に対して主張できない事になっています。
このように、自己の権利を他人に主張する事を『対抗する』と言い、対抗するために必要な条件を『対抗要件』と言います。家の所有権を他人に対抗するためには登記という対抗要件を備える必要があります。
それでは、二重譲渡された場合、一体誰のものになるのでしょうか。
答えは…先に登記を備えた者です。つまり、早い者勝ちですね。契約を後から交わした[B]でも、[A]より先に登記さえしてしまえば、家の所有権は[A]に対抗できます。それが、例え[A]が買ったことを[B]が知っていてもいっこうに構わないことになっています。これは、単に事情を知っているだけでなら取引の世界では自由競争の範囲内にあるとされているからです。
家を買うときは、まず登記を確認してみて下さい(誰でも見られます)。そして購入後は速やかに登記を備えましょう。