被相続人の最終意思を明らかにするものが遺言です(法的に「いごん」と言う)。遺言は遺言者が死亡した時に発生しますが、当然その時では確認することはできません。慎重を期すために、遺言を作成するには厳格な要件が決められていて、それが満たされていなければ遺言は無効となってしまいます。遺言を作成する方式として幾つかあります。
遺言者自身が全文・日付・氏名をかいてハンコをおしたもの(自筆証書遺言)
公証人に作ってもらうもの(公正証書遺言)
遺言者自身が作成して、公証人に印を押してもらうもの(秘密証書遺言)
などがあります。
しかし、やはりというべきか、それぞれに欠点があります。公正証書遺言の場合、要件は確実に満たされますが、秘密が漏れてしまう可能性があります。自筆証書遺言ならば、秘密は守れますが要件を満たすことができずに無効となってしまうかもしれません。
各相続人の相続分を被相続人が指定することもできますが(遺留分については制限あり)、これだけは必ず遺言によってしなければいけません。財産をめぐって醜い相続人間で紛争が起こってしまうからです。また、相続人以外の人に財産を与えることもできます。これを『遺贈』といいます。
もともと遺言とは遺言者の最終意思ですから、死亡する前に自由に撤回することができます。しかし、その時は新しい内容の遺言を作ることになります。