前回の売買に次いで重要になってくるのが賃貸借です。賃貸借とは、賃貸人(当事者)が賃借人(相手)に物を使用させて、その対価として賃料を支払う約束の契約です。すなわち、お金を払うことで物を借りることができるわけです。
賃貸人は使用させる義務を負うので、貸している最中に壊れたりしたら直さなければなりません。また、賃借人が管理するのに必要なお金を立て替えた場合は、それを返さなければなりません。これに対して賃借人は、賃料を支払う義務と、借りたものを保管・管理する義務を負います。つまり、他人に貸してはいけません。
基本的に賃借権は債権なので、契約当事者(賃貸人)にしか主張することができません。しかし、不動産については、対抗要件を備えていれば誰にでも主張できるという効果が認められるようになってきました。例えば、土地を借りている場合、賃貸人が第三者に売却してしまったら新しい所有者に賃借権を対抗できないことになってしまうからです。
民法上賃借権の対抗要件は登記ですが、賃借人を保護するため借地借家法により、建物の場合は引渡し、土地の場合は建物の登記がされていれば対抗要件を具備したことになります。
※参考条文—民法601条