今回は動産について書きます。土地と家以外は動産だと思ってください。
この動産の公示方法ですが、物を現実に支配する占有によってなされます。しかし、現実に物を持っていても持っている本人が本当の所有者か分かり難いものです。動産は読んで字の如く頻繁に取引され、動く財産として次々と移転していきます。不動産以上に取引の安全性を図る必要があります
例えば、貴方がAさんから自動車を買って受け取ったとします。しかし、実はAさんの自動車ではなくBさんからの預かり物でした。Aさんは所有権者ではないわけですから、そのAさんから買った貴方は所有権を手にすることは出来ません。
貴方はAさんが現実に自動車を持っていた為、所有者だと信じて取引したわけですから、法が貴方の信頼を保護してくれます。でないと取引そのものの安全を害してしまうからです。
Aさんは所有権者ではありませんが、現実に持っていた為本物の所有権者に見えてしまい、それを貴方が落ち度なく信頼して買ったのであれば、貴方は所有権を取得できる、とされています。これを即時取得といい、「公示があるから権利もある」という信頼を公信の原則により保護し、動産取引の安全を図る制度です。即時取得が認められると所有権が認められ、Bさんには返さなくても良いことになります。
※参考条文—民法178条 ・ 民法192条